海苔不漁―有明海以外も
天候不順で色落ち瀬戸内や伊勢湾業務用に影響?
毎日新聞 平成13年5月22日(火)朝刊
 海苔が品薄になっているo九州・有明海に続き、他産地でも天候不順による色落ち被害が出たためだ。 夏以降、 家庭用海苔の価格上昇が心配されるが、専門家は「不作の年があって当たり前買いだめに走る必要はない」と冷静な対応を呼び掛けている。  (戸嶋誠司)
 「不漁のため今回で休止します」今月中旬、首都圏最大の生協「コープとうきょう」(東京都練馬区)の共同購入用カタログに、有明産海苔の取り扱い休止の告知が出た。小さな文字だったが、海苔は子どもたちの大好物。不安に思う組合員も少なかろずいた。・同生協によると、原料確保が難しくなったこと、卸価格が高めで推移していることが原因という。
 年間約
6億個のおにぎりを版売する「ローソン」(東京都港区)は4月、東日本販売分の海苔を有明産から瀬戸内産に切り替えた。 数量確保が困難になったためだ。
 海苔メーカーの「白子」(東京都江戸川区)は
1日、一部商品を平均10%値上げした。「来年の海苔の出来が予測できない。コスト上昇分を一部転嫁せざるを得なかった」(同社宮業統括部)という。
 
3月に行われたコンビ二各社と海苔問屋との価格交渉では、初めて1015%の値上げが決まっている。各社ともおにきり価格ほ据え置く方針で、価格面での消費者への影響は当面なさそうだ。
 日本の海苔の生産量は年問約
100億枚(119aX21a)。約4割を有明産が占める。ところが今年の有明海の海苔は、色落ちが多く、前代未聞の不漁となっている。有明産は贈答用需要が多く、当初ほ食卓への直接の影響ほ小さいと見られていた。ところが、他産地でも予想外の不作になったのだ。
 被害が出たのは兵庫県姫路市沖から淡路島東岸にかけての瀬戸内海と、三重県沿岸の伊勢湾。どちらも有明海に次ぐ海苔産地だ。
3月中ごろから大量の浮遊プランクトンが発生し、 海苔が色落ちした。
 「記録的な少雨で水温が上がり、プラシクトシが消えないまま潮に乗って拡大した。本当に弱った」
(兵庁県漁連のり海藻部)。昨年の出荷量6億枚が今年は4億枚にo伊勢湾でも同様の被害が出て、出荷量は昨年比16%も滅った。
 
家庭用や業務用に使われる中程度クラスの海苔ほ、水温が上がり始める2月以降のもの。今年の不作はこの時期の海苔を直撃した。ある問屋は数をそろえるため、 「春先の入札で、例年は見向きもしない格落ち海苔まで買った」と打ち明ける。
 全国から海苔が集まる東京・大森の海苔問屋街。大森本場乾海苔問屋協同組合の大橋規一理事長に、色落ちした海苔を見せてもらった。黒光りでツヤのある通常品に比べ、色あせて黄色っぼい。目が粗く、磯の香りも少ない。歯ごたえも頼りない。「40年海苔を扱ってきたがこんなのは初めて。数が少なく品質も良くない。夏以降、小売価格は全体で10%程度上がるだろう」という。ただ、収穫滅ほ前年比2割程度。業務用は影響を受けるだろうが、 家庭用海苔が手に入りにくくなるほどでほない。
  大森の海苔問屋「田中正造商店」の後町正さんは「海苔不足とまではいかないが、昨年分の在庫を使い切る夏から秋にかけて、色落ちした海苔が食卓にのぼる可能性はある」と予測している。