「大森ふるさとの浜辺整備」本格的に着工
おとなりさん 平成13年4月号Vol.213
 本誌でも何度か取り上げた、大田区の内川河口を埋め立ててウォーターフ口ント軸の拠点とする「大森ふるさとの浜辺整備」だが、平成13年度より平和島運河の理立て整備が本格的に着工される。大田区の平成13年度予算案では、この整備に約9億5千万の予算が組まれている。
これまでの経緯
 まず昭和56年に大田区が「東京ガス沖公有水面理立整備計画」を策定し、東京港港湾計画により計画決定した。これは都の下水道処理施設を建設するため内川河口のほとんどを理立てる計画で、下水道施設が8.8ha、公園緑地が5.9haという大規模なものだった。しかし住民の反対と陳情を受け、都は内川河口に下水処理施設を建設する必要性がないとして計画を白紙に戻した。
 このため大田区では計画を見直し、内川河口をウォーターフ口ント軸の拠点として整備するため、平成2年から新たな計画の構想をたて始め、同時に住民との話し合いを重ねて計画を具体化させた。そして平成5年、「平和島運河理立整備および内川改修構想」を発表。周辺海域の3分の1にあたる約6.4haを埋立てる計画で、その理立地に遊歩道や人工海浜、磯、干潟、海の歴史博物館などをつくって整備するものだった。しかしこの計画も住民の反対にあう。区内の10以上の自然保護団体は、干潟と水域のバランスをとることなど環境や生物に配慮した独自の整備計画を提案したり、区に陳情を行なった。
 大田区は住民との話し合いを重ねた結果、ようやく住民との間で基本的合意に達し、平成9年に平和島運河(大田区大森東1の37番先)の整備計画を発表。海と川の結節点である平和島運河をウォーターフ口ント軸の拠点となるよう、緑豊かな親水公園としてまた海とのふれあいを回復するための海洋文化交流拠点の創出を基本コンセプトに整備を行なうことを決めた。
 その後、国の認可を得るための手続きや申請、理立て区域の水質や生態系、護岸、造成、へド口処理、液状化対策などの調査や計画の見直しなどを行なった。
 「大森ふるさとの浜辺整備」は、川と海の結節点という特性を生かす方針で、整備の目的として@公園・緑地の確保A都市防災機能の強化B人と海の接点の回復C水域環境の改善をあげている。
A工区l・8ha、Bエ区3.2ha、合計5haの理立て工事が今後行なわれる。平成12年度は、工事関係車両用の搬入路の整備と環境調査が行なわれている。搬入路は周辺の住宅地に工事の影響が出ないようにA工区をつなぐ。現在は平和の森公園を整備中だ。
 環境調査は現場にどのような生物が棲息しているかなどを調べ、今後も継続する。また現在、水中に板状の杭を打ち込んでいるが、これは今後の工事の際に出る土や砂などを一時的に入れておく場所だ。
平成13年度の工事は?
 さて、平成13年度の工事内容は@環境調査委託A理立整備工事B放流渠設置工事である。環境調査は今までの調査の継続で、理立整備工事はA工区B工区の理立て。しかし、いきなり理立て工事が始まるわけではなく、陸と海とを仕切る護岸工事や、海底の上を掘る浚渫(しゅんせつ)工事が行なわれ、理立てはその後。平成16年6月までの工事期間のため。平成13年度はまだ第一歩だ。
 放流渠設置工事は、現在内川の水は通常、水門を通り海へと流れているが、海の水位が上がると水門は閉まり、三角島と東京ガスのグラウンドの間から水門の外へ放流される。しかし今後、その水路が埋立てられるため、三角島の下を通らせ放流をさせる。
 「東京ガス沖公有水面理立整備計画」から20年。今回の取材時も、静かな海にはたくさんの海鳥が翼を休めていた。へド口の悪臭などに困っていた人の、住民のための工事であれば反対はしないという声のほか、人工干潟に野鳥や生物が戻ってくるのか。人間に水辺が戻っても、人間を恐れて野鳥が近づかないのではという理由から不安を抱く人たちもいる。イメージ図のように、将来的に人と自然が調和する親水公園となれるのか注目すべき工事だ。