NHK「首都圏いきいきワイド」
NHK「首都圏いきいきワイド」  平成13年1月30日
 東京大田区大森東京湾沿いに住宅街が広がっています。この住宅街の一角でなんと海苔の入札が行われています。東京で海苔の入札が見られるのはここ大森だけです。入札が行われるのは新海苔が出荷される11月から4月まで、週2回神奈川を中心に全国各地から海苔が集められて、大森周辺の問屋さんが自らの目利きで海苔を競り落としていきます。そして競り落とされた海苔はデパートなどに卸されています。
 大森は江戸時代の中ごろから海苔の一大産地として栄えてきました。海苔の養殖技術はここから全国に伝わっていったのでした。しかしその後の東京湾の埋め立てや海洋汚染によって、昭和38年海苔養殖の歴史に幕が降ろされました。
 しかし、大森では今も多くの人が海苔の仕事にたづさわっています。こうして海苔問屋が実に80件近くもあって脈々と伝統が受け継がれているのです。
 昔から海苔の問屋は卸だけではなくて、養殖された海苔を製品に仕上げる2次加工の作業も受け持っているのです。乾燥作業ですとか遠赤外線による焼きの作業など、問屋さんの手を経ることによって、海苔ははじめて風味豊かな製品に仕上がります。今はそのほとんどが機械化されていますが、昔ながらの手作業も残っています。
 最初に行われるものが海苔のばしという作業なのです。クセのついた海苔を手で広げて100枚づつ束にしていきます。単純な作業のようですがその後の加工作業でムラを出さず品質を一定に保てるようにと、昔の職人たちがあみだした手法なのです。
 そして海苔つくりの伝統を伝えるための取り組みも行われています。ここもともと海苔干し場があったと言う中富小学校には海苔資料室があります。実際にに使われていた海苔採り船を始め、養殖にたづさわっていた方から寄贈された貴重な道具や資料写真などが展示されていまして、一般の人も見学できます。
 また中富小学校では子供たちに大森の海苔の技術をもっと身近に感じて欲しいと、10年前から海苔すきの体験学習も行っています。
(中略)
東京大森、海苔つくりの伝統と誇りが今も受け継がれています。