39回全国海苔問屋協組連「大森大会」
食品新聞」 2001年6月1日(金)

全国海苔問屋組合協同組合連合会(村瀬景三会長)の「大森大会」(福本恵一委員長)が522日、東京台場のホテルグランパシフィックメリディアンで開催された。昭和27年の第1回大会から数え39回目の歴史と伝統に裏打ちされた業界最大のメーンイベントだけに、300余人の関係者が参加し、盛会を極めたが、それよりも「新たなる価値の創造をめざして」というスローガンを掲げたことでもわかるように、過去の大会に決別し将来への課題を投げかけた意気込みを窺わせた。

手作りで将来に一石 老壮青が投じた問題意識

新たなる価値の創造をめざして ヒントを探せ!チャンスをつかめ!


危機感背に提言

大森大会の「未来を志向する」方向性は、それだけ海苔業界が追い込まれたことの証明でもあるが、時代の構造変化は海苔業界にとっても例外でないことを認識させた”学ぶ”大会になったことは、遅ればせながらも意義があったと評価される。食品産業はいま激変のただ中に揺れ動いている。量の伸び悩みと価格の低落という二重苦に加え、グ口―バル化の荒波にもまれ呻吟しているが、それは単なる景気動向だけでない

復合要因の"潮目”変化である。

海苔業界もその例外でなく、すでに20数年前から生産と流通、消費の構造は大きく様変わりした。簡単に言えば海苔を扱っていれば、それなりの利潤が得られた古き良き時代は、とうの昔に幕を降ろした。事実、業界の地図は速いスピードで色が塗り変わった。もちろん、この業界は幸いにしてというべきか天然自然の恵みを背景にした天産物の扱いだけに、工業商品のようにドラスチックな変革は訪れない。産地が違えぱ品質も異なる。時期によっても変化が激しい。長丁場にわたる100億枚の生産期は"仲間"間の融通が必然であり、そこになにがしかの存在感も生ずることは現実といえる。

しかし、すでに業務用が6割以上を占めるように消費の構造は激変した。百貨店や量販店に止まらず、弁当、おにぎりなどのベンダも価格決定権には強力そのものの猛威をふるう。一間屋の力では生き残りさえ危うい危機的状況と言わざるを得ない場面を迎えている。「明日があるさ」と歌うにはあまりにも環境が厳しすぎる。だが、海苔流通・加工業界の現実はあまりにも無力である。業界は如何なる攻守の体制で難局を乗り切るかが将来への大きな宿題になっている。

そのような認識から今回の大森大会は一石を投じようと、過去の大会にとらわれず「手作りで間題提起をした」(福本大会委員長)ことの試みは、今後の波紋となって業界を活性化させるものと期待したい。古くて新しい問題の評議委員会の制度,役割を具現化する熱っぽい評議委員会の運営やセミナー、パネルディス力ッションなどは「新たなる価値の創造」へ小さい歩みながらも将来のあるべき姿に第一歩を踏み込んだ演

出だった。

翰入間題も課題

 今年は有明海の凶作により共販量は83億枚に止まった。今後の事態は読み難いが「100億枚の消化量を考えれば憂慮せざるを得ない。しかも本来なら札にかからない下物も出世して出番をうかがつている。これが高値と相まって消費者の海苔離れにつながらないかを懸念する声は高いが、それよりも環境変化によるこれからの海苔生産に危倶の念を抱く業界人も少なくない。数日前に韓国での入札・商談会が行われた余韻があったにしても、生産危倶を反映するかのように今大会ほど「輸入」問題に対する強い関心が集まった年はなかった。今年は15千万枚という焼石に水の高値韓国海苔が輸入されるが、近い将来必ずや輸入問題は業界にとって避けられない重大なテーマとして投げかけられることはまず間違いがない。特にWTO絡みの中国の動向は注目に値する。輸出の経済大国が従来のように"海苔鎖国”状態で通せるとは考えにくい。自由化の道は容易でないとしてもIQ枠が拡大しながら自由化"への方向をたどることは他業界の例を見れば一目瞭然である。小泉内閣の聖域なき変革は3千億円産業の海苔をも揺り動かす可能性を秘めている。

その時、全国海苔問屋連はどうするかを今から検討しておく必要がある。というより今時、海苔共販から輸入に至るまでの古色蒼然とした"古典的"なシステムでいいのかにどのような答えを出すのかが問われよう。もとより商売には利害がついて回る。傘下数が減り加工筋の比率が高まり、かつ実体のない問屋も散見されると言われる問屋620社の思惑には温度差がある。きれいことだけでは前に進まないが、課題に対する検討だけは"前向きに進めるべき時である。評議委員会で間屋連の改革を声高く論じられたことは意義深いことだった。村瀬会長も真摯に受け止め議論を煮詰めることを確約した間屋連の変化が待たれる

新組織で存在力

そして、同時に海苔業界としての組織の一本化も将来の課題となる。どちらかと言えば屋上屋のような組織が多い。どこがリーダーをとっても構わないが海苔の流通・加工筋がが一丸となる強カな組織力で、生産者や行政と同じ土俵にのぼる仕組みが、業界の将来から求められる理想図でほないだろうか。時代は大きく変わった。食品産業も激変最中である。経済・産業の構造もまた同様の歩みであり、政治も水面下から浮上しかけている。海苔の生産から消費が変化している中で肝心の重要な役割を担う川中だけがただ「儲からない」と愚痴をこぼすだけでは未来がない。

大森組合の老壮青が問題意識を持ち、未来を志向する大森大会にこぎつけた意義は「蟷螂の斧」でなく、一本のマッチが燎原の炎となって全国を覆いつくす可能性を秘めている。問題は大森大会が終わりの始まりという業界人の熱く燃える心構えである。

その意味では2年後に第40回の舞台になる東京大会の"仕掛け"が見守られている。というより、それでの具現化へ至るプ口セスへいかなる照準を合わせるかが最重要課題である。ドッグイヤーのテンポは早い。2003年は今とは違った風景となって映る公算も強い。

全国大会が単に親睦の場であるとしたら、おそらく継続は難しい。考え、提案し行動する業界になって初めて海苔業界の存在感が発揮され、海苔大会が輝きを増す。大森大会はそのための一石を投じた。改革は明日では遅すぎるのだ。改めて関係者の努力に敬意を払いたい。

歓迎のあいさつ 福本恵一大会委員長


山積みの問題をクリアすれば業界の未来はある。

 21世紀の節目の年に伝統ある祭典を開催でき、多数の参加をいただいたことに感謝している。意義ある大会にすべく取組んできたが、引き受けてから手作りで未莱を志向する方針を摸索しながら大森大会にこきつけた。”新たなる価値の創造をめさして"というスローガンを掲げたのは、業界人共通の課題であり希求したい問題と考えて採用した。

今漁期は有明地区の環境問題では生産者の皆さんに心からお見舞い申し上げるが、英知を発揮され一刻も早い原因究明を望みたい。21世紀の課題はいろいろあるが、地球温暖化により海苔の量や品質がどうなるかわれわれも関心をもたざるを得ない。そして輸入自由化にどう対応するか、他業界との競合をどうするかなどに加え、流通の一体化共販制をどう構築するか、組合の役割は、生き残るにはなどなど難問が山積みしている。

これらの問題に勇気をもってクリアしていけば海苔産業は明るい未来があろうと確信している。今日は懇親を深め語り合い情報を交換しながら何かヒントを見つけチャンスを探してもらえるなら幸いと思う。