海苔の本場・大森の海苔入札
連綿と受け継がれる伝統と誇り
「月刊おとなりさん2000年4月号より転載」
 かって大森の地場産業として地域に密着していた海苔養殖業。東京湾が埋め立てられたため昭和38年に海苔養殖業は終焉を迎えたが、大田区、品川区には今でも海苔の本場としての誇りや伝統が受け継がれている。
 大田区,品川区には海苔問屋や海苔販売店が現在も数多くある。この大田区、品川区の海苔問屋が所属する大森本場乾海苔問屋協同組合による海苔入札が、大森海苔会館(大田区大森中1の6の5)で行われている。
 同組合では、大森で海苔が採れなくなってから、全国各地から海苔を集めて入札する方法に転換。現在、神奈川や和歌山、徳島など全国から乾海苔が出荷されいる。
 海苔入札が行われるのは新海苔が出荷される11月から翌年4月。この期間中は毎週水曜と土曜に入札が行われ組合所属の海苔問屋が入札に訪れる。ここでは同組合員のほか,大森に海苔をすべて出荷している神奈川県の川崎、横浜湘南の組合に所属する海苔問屋も入札権を持つ。
 会場には各地から出荷された360帖、3600枚入りの段ポールがズラりと並ぷ。入札では段ポールからたった10帖の乾海苔を取り出し品定めするわげだから、I箱の乾海苔の品質はすぺて同じでないといけない。ここでは生産者と問屋との信頼関係が第一なのだ。
 また通常は、その地域の漁連の検査貝が海苔の品質を見立てて等級をつけるが、大森では未等級のまま問屋によって値段がつけられ競り落とされる。こうした長年の慣習から問屋の見立ても確か。等級づけを嫌い、大森に出荷する生産者も多い。
 入札に訪れる年端層も幅広く、会場には若手もチラホラ。同組合に所属しているのは約70社だが「家業に誇りを持っている組合員ばかりで、子供も家業を継いでいる」(吉田謙常務理事)ため、組合員数の変動はない。地場産業というと後継者難が問題化しているが。海苔の本場・大森では昔から本場としての誇りが培われ、後継者難とは無縁だ。
 そんな中、最近、若手組合員が単独で大森の海苔のホームぺージを制作し、インターネットで情報発信している。「海苔の生産地ではなくなったが伝統ある地域として、組合でも海苔のホームぺージを立ち上げるため準備中」(福本恵一理事長)と海苔の本場・大森は、まだまだ健在だ。